「あー、そりゃ、そういう男もいるってもんだよ」

 翌週の金曜夜、居酒屋にて。
 先週の初デートでの出来事、そしてそのあとのメールのことを、私は洗いざらい大学時代の友人に告白した。

 浩太郎からメールが来たあと、こちらからも反省のメールを簡潔に送った。
 謝られるのが浩太郎には以外だったようで、何を言われているのか、よくわかっていなかったみたいだけど……。

 タピオカミルクティーをぶちまけたワンピースは、洗濯した後もほんの少しだけシミが残ってしまった。じわりと残る、気まずい思い出の影のようにして。

「それは残念だったね、諦めな」
「ところがどっこいですよ」
「親父くさい表現ね」
「うるさいな」

 次の火曜日、私が退勤してビルを出たところに、浩太郎が立っていたのだ。

『これをどうしてもお渡ししたくて』

 そういって浩太郎が差し出したのは……

「ひょっとして、現金!? 金で問題を解決しちゃう大富豪だったの!?」
「なわけないでしょっ!」