自分のことしか考えていなかったんですから。

 ですが、ひばりさんのことを思う気持ちに一切の偽りはないことだけは、理解していただきたいのです。
 僕は真剣にひばりさんとの将来を考えています。
 これから先は、僕の行き過ぎた点、至らない点をどうぞ遠慮なく指摘していただきたいです。もちろん僕自身もひばりさんが喜ぶように、最善を尽くしていきます。

 また次に会うことを許していただけるのであれば、望外の喜びです。
 服が洗濯で綺麗になっていますよう、願っています。

 足がお疲れのことでしょう。湿布など使って、ゆっくり休ませてください。』



 じん、と胸が痛んだ。
 
 自分のことしか考えていなかったのは、浩太郎ではない。

 私だ。

 浩太郎が一生懸命私を楽しませようとしてくれていたのに、私はそんな気持ちに気がつきもしなかった。
 彼はメールで「僕は本当にひどい男」というけれど、私は痛いほどよく知っている。

 本当にひどい男は、自分のことを「ひどい男」と言ったりしないことを。