翌日のデートは全て結城さんのPDF通りに行程が進んでいった。
 まるでこれでは小学生の遠足か修学旅行じゃん、と内心思いながら、時間通り移動する。

 確かにこれまでのクズ彼氏たちは、デートとはいえ何の計画も立ててくれない男ばかりでうんざりしはしたけれど、ここまで細かいデートプランは私とて求めていない。

 そして、当日。

 ボタンダウンシャツにチノパンという出で立ちで、彼は駅で待っていた。
 美術館デートを提案したのは結城さんだったのだが、展示される作品や作者について予習してきていた。
(何となく、予想できたことだが。)

 しかし、結城さんの解説を聞きながら見る絵画は、漫然と見るだけのそれよりも数倍楽しかった。
 まるで音声ガイドを耳に着けているかのようだった。