「いいんじゃないですか。私はその趣味を否定するつもりは一切ありませんよ。一見、生産性のない趣味のように見えますが、その実その趣味は社会の役に立つと私は思いますよ」

「ふえっ? ……役に、立つ?」

「ええ。星野さんはそうやって市場に出回る新しいスイーツをくまなくチェックし、購入し、味や価格、満足度を比較することでスイーツ業界の動向を調査しているのですよね。素晴らしい趣味ではないですか」

「……そこまで大げさに言うと馬鹿にされているような気がしますけど」

「いいえ。星野さんが流行に敏感であることに変わりありません。将来、マーケティングリサーチに関わるお仕事をしてもいいのではないですか?」

「片仮名難しいんですけど……」

 小神に聞くよりあとでグーグル先生に聞いたほうが早いかもしれない、と思う私。

 小神が加えて解説しようと口を開いたちょうどその時、タイミング良く店員さんがわたしのもとへと注文したパフェ三つを持ってきてくれ、その話は自然と流れた。

 そして。

「さて、パフェも約束通り注文したことですし、お話してくれますよね?」

「ま、いいでしょう」

 既に二口三口とパフェの山を崩し始めていたわたしだが、約束に従って昨夜の明晰夢の話を小神に思い出せる部分から順に話しきった。

 話しているうちに思い出した細部の光景なんかも話し出すと結構長くなってしまった。