平然とした表情の小神。その目はまっすぐわたしを捉えている。

「!?」

 思わず、ジュースをグラスに吐き戻すところだった。


 誰だよそのマニアックな女!

 というか、なんでわたしの考えていることが分かるわけ!?

 しかし動揺を悟られるわけにはいかない。

 大きく息を吸い、吐く。落ちつこう。

 落ちつこう――わたしはとっさに、頭の中をさっきまで図書館で解いていた英文法の問題で膨らませた。

 接続詞のthatと関係代名詞のthatで頭の中がいっぱいになったころ、平静を装って、オレンジジュースのグラスをテーブルに置いた。

 今わたしがすべきこと――それは、話題を変えることだ!

 ちょっとだけその「デート」の内容に興味がわかないことはなくもなかったのだけれど、むしゃくしゃするからその話はもういらない。

「それはそうと、何の用でわたしをこんなところまで連れて来たんですか」

「私の恋愛遍歴に興味を持ってはくれないのですね……仕方ないでしょう。思わず妬いてしまうその気持ち、私にも分からないことはないです。さて、本題ですが、」

 しれっとした顔で戯言を口にした後、出し抜けに話題を百八十度転換させた。誰があんた絡みの恋愛でやきもち妬くねん、と突っ込む間もないほどの手荒なターンに、わたしは唖然とするばかりだった。

「星野さんが見たという夢の内容を詳らかに私に教えていただきたいのです」

「夢の内容?」