一ノ瀬君は控えめに言っているけど、いくら北原君が運動神経がよくてもサッカー部の一ノ瀬君にはかなり苦戦したんだろうな。


ましてや、手を骨折していて普通の状態ではないんだから。


「もしかしたら、月島さんと俺のことを誤解したのかな」


神妙な顔で言う一ノ瀬君は意味ありげに私をじっと見つめてくる。


「誤解って?」


「付き合ってると思ったとか」


「そ、そんな。でもそれでどうして北原君がそんなことするんだろう」


「まあ。それはつまり・・・」


一ノ瀬君は表情を曇らせて、口をつぐんでしまう。

「北原君て、よくわからないんだ。冷たかったり優しかったり、何を考えているのかもよくわからない」


「月島さんは彼のことが、もっと知りたい?」


「・・・・知りたいのかな」