私に文句を言われても困る。

文句を言うならカードを作った人にしてほしい。



そのあと男子の番が来て、事件が起きた。

事件というか、去年もあったラブイベントだ。


『好きな人』を引いて本当に好きな人を連れてゴールした人が、その相手に全校生徒の前で告白するという最高に盛り上がる一幕。

そしてそのカードを引いたのが、サッカー部の王子様、高橋くんだったのだ。


高橋くんがゴールまで連れて行ったのは、三年生の女子生徒。

相手はあの雨の日、私が貸した傘に高橋くんと入った、サッカー部のマネ美人ージャーだ。


そっか。

高橋くん、あの先輩のことが好きだったんだ。


「あ、アズにゃん? 大丈夫……?」

「梓……」


なぜかミーナと小鳥に気づかわし気に見られ、首をかしげる。


「え。なに、ふたりとも。どうしたの?」