心底同情する。

うちの弟は可愛くないが、男兄弟で良かったとしみじみ思う。


「でもその逆もあるよ。ちょっとのことでご機嫌になったり。女の子はそういうのが可愛いんじゃない?」

「お前はできた奴だよ」

「いや、俺もうちの姉妹にはそうは思わないけどさ。好きな子は別じゃん?」


好きな子、というワードに引っかかり、高橋のムダにキラキラした顔を見た。


「好きな子?」

「うん。そういうもんでしょ」

「お前、好きな奴いるのか」

「あれ。言ってなかったっけ?」

「聞いてねぇな」

「まあ、言う必要も特にないしね」

「まあな」


女じゃないんだから、男が恋バナで盛り上がるなんて早々ない。

ゲームの話でもしていた方がよっぽど楽しい。


でも、そうか。

こいつ、好きな奴がいたのか。


「ちなみに年上。このあとの借り物で、タイミングが合えば告白しようかなって思ってる」