「はい、これでいいよ。」




「ありがとう。おばあちゃん。」





「夜、遅くならないうちに帰ってくるのよ。」





「うん。分かってる。」




チッ




また、そうなるよね。




母が私に向かって舌打ちをした。




「いってきます。」




分かってるから、別にいいんだ。




「だってさ、私が幸せなの嫌いんなんだもん。お母さんは。」





昔からそうなんだもん。




自分が嫌なことあるとき、最悪なことあるとき、いつもそうだから。




人の幸せを喜べなくて、自分にないものが許せなくて、妬んで、蔑んで。




でも気にしないで生きてきた。




気にしてたら、私がおかしくなっちゃう。




笑いたいのも笑えないなんて、やってられないもん。





カフェに着くと、葉月葵がいた。





「おーい、莉那ーー!!」




「やっほー、葉月葵!!」




葉月葵は可愛い白と紺色のシンプルな浴衣だった。




「莉那の浴衣可愛い!水色にオレンジと黄色もいいね!!なんか、莉那っぽい。」




「ほんと?ありがと!!」




「中に行って、手伝おう。」




「うん。そうだね。」