どのくらいそのままでいたのだろう。

 抱き締められたまま、それが心地よくて、離して欲しくなくて、晴正さんにしがみついていた。

 傾いた夕日がマンションを照らして、私たちはオレンジ色に染まっていた。

 ふいに腕が緩められ、不安になって彼を見上げると、晴正さんは私をじっと見つめていた。その瞳は甘く、それでいて情熱的な火が灯っているようだった。

 私もきっと同じ顔をしているのだろう。
 
 次第に、彼の顔が近づいてきて──。

 私は、人生初のキスをした。