月曜日のランチは愛海さんとお気に入りのカフェにやってきた。

 私はサワークリームオニオンが入ったベーグルサンド。愛海さんはクロワッサンとスコーンだ。

「その御令嬢、きっと馬場社長の娘ね。ずっと西園寺先生狙いだったなんて、本当かしら」
「泣いてらしたので、本気だったのかと……」
「……そう。でも美月、気にしちゃダメよ。幸せは時に譲れないこともあるのよ」
「奈良崎先生もモテモテですもんね」

 それから奈良崎先生をゲットするまでの壮絶なバトルの数々を聞いた。私は一生愛海さんには敵わない気がした。



 その日、実家にまた呼ばれていたので、父の元を訪れようと所長室へ向かっていた。すると珍しく晴正さんの声がする。

「でもまさかお見合いの相手が彼女だなんて思いもしませんでしたよ」
「今なら、お見合いすれば良かったと思うだろう?」
「そうですね。お見合いをお受けしておけば良かったかもしれません」

 ははははっと二人が笑う声。それを遠くで聞いていた。

 お見合い、それはあの馬場コーポレーションの御令嬢との?
 お見合いしたらよかったって……晴正さんは彼女のことが、好きになったのかしら……。

 私が困っていたから、私を助けてくださっただけで、もしかしたら。

 貴方と彼女の幸せを奪ったのは……。