やっと想いを通じ合わせた私達。もう今日は、ずっと一緒に居たいって、私は思ったけど


「僕だって、本当はそうしたいけど、まだ会社に行き始めたわけじゃないし、僕達、出会ってからは結構経ってるけど、まだまだお互い知らないことも多い。それに・・・ちょっと順番間違っちゃったなって思ってるから。」


どうやら、先にキチンと唯さんを断ってから、私に告白するべきだったということらしかった。


そのあと、私達は駅に戻り、駅ビルのレストランで夕食を共にした。話は弾み、楽しい時間だったけど、会計の際、私が払おうとすると


「昼にクレープもご馳走になってる。本当はここは僕が、って言わなきゃならないんだけど・・・ゴメン、割り勘でよろしく。」


と本当に済まなそうに言う。そんな彼の誠実な気持ちが嬉しかった。


途中まで一緒に帰って、名残惜しかったけど、自宅の最寄り駅で、総一郎とサヨナラした私は、帰宅すると、両親に彼ともう一度付き合うことになったと報告。2人に喜んでもらった。


更にグループLINEで、仲間達にも報告。更には悠と由夏には別途報告した。


すぐに塚原くんからは


『グッジョブ!沖田を頼む。』


との短い祝福が。続いて白鳥先輩からも


『おめでとう。なんかホッとしました。今、取材で第二の故郷、名古屋に滞在中。悠と電話で喜び合ってたところです。焦らず、お互いをゆっくりと見つめ合って行って下さい。』


とメッセージをもらった。悠からも別に


『ずっとお似合いだと思ってた加奈と沖田くん。本当によかったと思うよ。徹くんと一緒に応援してるからね!』 


とのメッセージ。最近パパ呼びばかりだった悠の「徹くん」は久々だな、なんて思った。


そして由夏には電話をもらった。


『やったね。』


「うん、ありがとう。由夏の『このままでいいの?』が効いた。」


『そっか。じゃ少しは恩返しになったかな。ねぇ、加奈。』


「うん?」


『あえて、嫌なこと言わせてもらうけど・・・もう沖田くんだけを見てなきゃダメだよ。』


「うん、わかってる。」


『加奈があの時、近藤さんに走ったのは、近藤さんが好きだったって言うより、沖田くんの気持ちがわからなくなってたからだよね。』


「・・・そうかも、しれない・・・。」


『だから沖田くんの責任もあるんだけど、でもどっちが悪いって言ったら、間違いなく加奈の方が悪い。』


由夏の容赦のない言葉は、胸に突き刺さる。


『もう加奈が苦しんでる姿も、沖田くんが苦しんでる姿も見たくない。2人に幸せになって欲しい。だから・・・約束だよ。』


「うん。約束するよ。」


私のその言葉に、由夏がホッと笑顔になったのが電話の向こうから伝わって来る。


「由夏。」


『うん?』


「やっぱり持つべきものは友達だな。ありがとう。」


『・・・どういたしまして。』


そう答えた由夏の言葉は照れ臭そうだった。