少し冷たい、なだらかな春風が、客の歓声やふたりの髪を掠めていった。



優しくしたり、突き放したり。

憎たらしいことを言ってきたかと思えば、ピンチの時には助けてくれたり。


今日も私は彼に、振り回されっぱなしである。


……なんだか、


「気が滅入っちゃうよ」



柔らかな肉まんの皮を口に含みながら、不規則な音を立てる心臓に、小さく肩を落とした。