「それで、今日呼んだ1番の理由は……天音さんに今から伝える内容を、どうしても知って欲しかったから」

トオルくんが発するひとつひとつの音が、ハッキリと聞こえる。



「カレイドスコープの城前に、一時退院したマサトがいるよ」



マサトが、ここにいる……?


「天音さんを避けて家出したりどこかに消える前に、あいつに会ってやってくれ」



私たちを引き合わせるのは、ふたりを苦しめた俺の……ほんの罪滅ぼしのためだと、彼は言った。



「天音さんの本当の気持ちを、伝えてやってくれ」


迷いなんて、なかった。


ここで迷って答えを渋ることこそ、こんなに恵まれたシチュエーションを用意してくれたトオルくんに対して、失礼だと思った。



「ありがとう!」


そう伝えるしか、なかった。