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体育祭が終わると、世間は一気に肌寒くなり始める。


「みんな、呆けていられないわよん」


出欠簿を抱えた宇佐美先生が、受験の一連の流れを説明する。


10月後半からは推薦出願が開始され、早い人たちは11月の中旬に試験日を迎える。


みんなそれぞれの道に進んでいく準備が、ついに始まるのだ。



「はぁ、嫌だなぁ……」


憂鬱気に机に突っ伏しているハルカくんを横目に、私の注意は空席に集中していた。


(……マサト、体育祭から学校に来てないなぁ……)


なんの展望もなく、じりじりと枯れていくように日々が過ぎていく。


窓の外から流れてきた金木犀の香りを吸い込むと、後ろ髪を引かれる思いがした。


……もうすぐ、秋が終わる。


マサトと言葉を交わすことのできなかった秋が、終わる。