真っ暗な自問自答に片足を突っ込んでいると、不意に名前を呼ばれる。


「ねぇ、青龍院くん……だよね?」


「あ、ああ。…………君は……」


声の主を確認すると、女子生徒の容姿には見覚えがあった。


少し開いた口元と、均衡の取れた薔薇のような目鼻立ち、柘榴のように鋭く光るオーラを纏っている。



桜島高校に通っているなら、知らぬ者はいないくらいの有名人。


……桜島高校のマドンナ、栗木 杏奈さん。



「あははーっ。青龍院くん、私のこと知ってくれてるんだぁ? 嬉しいなぁ」



あまりいい噂が絶えない人物である。