「あっ玲奈さん!久しぶりだね。キミが蒼空ちゃんかな?」

細身で感じの良い男性だった。
この人となら仲良くなれそうだな〜。
私はそう思ってしまった。

「拓海くん!ホントに久しぶりね。えぇ、私の娘の蒼空よ。ほら、挨拶しなさい!」

私は気づいてしまった。
この人は“母”ではないと言うことを。
この人は…恋している“女”だと言うこと。
幼いながら分かってしまうほど、母はわかりやすかったのだ。

「はい。初めまして!私は蒼空って言います。7歳です!よろしくお願いします!」

事前に母に教わっていた自己紹介をした。

「はい、初めまして。僕は高橋 拓海。よろしくね?」

この時はとても優しいひとだった。
なんにも疑いをかけられないほどに。
しかし、ホントに完璧なひとだったのか、それとも私が幼すぎたのか…答えは未だにわからない。

この出来事があってから毎週土曜日は拓海さんと会う日となった。