「ちょっとママ、お出かけしてくるわね」

そう言って出かけることが多くなったと感じる。
幼い私はちょっと寂しいなくらいの感情だった。
母が何をしているのかなど気にもとめずに姉や兄と遊んでいた。


しかし、ある日の夜。

「ねぇ、蒼空。新しいパパに会ってみない?」

そう唐突に告げられたのだ。
その時の私は何を言っているのか理解ができなかった。

「パパ?だってパパはいるよ?新しいパパってなに??」

私がそう告げても笑顔だった。

「ふふっ楽しみでしょう?いい人だから会えば楽しいわよ?会ったら“パパ”って呼ぶのよ?」

よく分かっていなかった私は喜ぶ母に“うん!”と返事をするしかできなかった。