理恵の拘束がほどけて、その場でよろける。


それでも両足をしっかりと地面につけて、理恵は踏み出した。


炎の中に右足が入った瞬間、理恵は走り出していた。


懸命に前へ前へと進んで行く。


そんなに遠い距離じゃない。


それでも炎の中の道は永遠のように長く感じられた。


ステージに近づき、理恵がアルバムへ手を伸ばす。


次の瞬間だった。


理恵が一歩手前でこけてしまったのだ。


炎の中に体が沈み込むのを見て、あたしは悲鳴を上げていた。


「理恵立ち上がって!!」


あたしはすぐに声を張り上げた。


もう少しだ。


手を伸ばせば届くんだ。