約束~悲しみの先にある景色~

そんなこんなで眠気と満員電車と必死に闘っていたら、8時25分までに登校すればいいはずが、何と8時5分に学校へ着いてしまった。


少し早かったかな、なんて事を考えながら、私は自分の教室である3-3の扉をガラリとあけた。


既に学校に着いていたクラスメイト達と挨拶を交わし、廊下側の1番前の席-私の席-に向かう。


そしてその後ろには、毎日クラスの中で1番に登校している、小学校から無遅刻無欠席という素晴らしい記録を打ち立て続けている私の親友が座っていた。


「瀬奈、おはよ!今日はなんか早くない?」


自分の机に、一緒に満員電車と闘ったリュックを置いてマフラーを取ると、すぐに後ろから声を掛けられて。


「おはよう、きっき。うん、私も早いかなって思ってた」


荷物整理をしながら後ろを振り返ると、きっきこと岡田 輝星(おかだ きらら)が私に向かって満面の笑みを浮かべてみせた。


「やっぱり?…そうだ、ねえねえ、今promiseの新曲聴いてるんだけどさ、本当に泣けるの!」


そう言いながら、ひらひらと片手に持ったミュージックプレーヤーを振ってみせる輝星。


私の通っている中学校は私立だから、携帯の持ち込みが許可されている。


もちろん、ミュージックプレーヤーも。