それは、叶わなかった私の夢。


前のお父さんに酷い言動を沢山された時も、心のどこかでこれは嘘だと思っていた。


夢にしては長過ぎるけれど、それでも夢だと信じたかった。


空想上の兄の言葉に何度も救われ、その言葉がお父さんの口から発せられる日を待って。


ずっとずっと、お父さんから愛されたくて、必要だと言われたくて。


彼の偽りの笑顔を見たくなくて、どんどん出てくる汚い言葉を聞きたくなくて。


終わりの見えない地獄の日々の中、私は心の中で咲かない花を育てていた。


育つことも、咲くことも、枯れることも知らない花を、ただ必死に。



お母さんの苦しむ顔は、何度も見てきた。


全て自分のせいだと信じ込んで、何度も私に謝って。


私がパニックを起こした時に、息が出来なくなる程私を抱き締めて、


『何年も、気付かなくてごめんね……!』


と、泣いて。


駄目なお母さんでごめんね、と謝る彼女に、何度


『駄目な娘でごめんね』


と謝ったことか。


謝っては謝られて、謝っては謝られて、全く埒が明かなくて。



でも、お母さんがキムさんと再婚したら、きっと。


そんな事は、無くなる。