キムさんの呟きを無視したうちの1人であるお母さんは、私の答えに目の色を変えた。


「脇腹だけど…?いやだって、お母さん知ってると思ってたから…」


警察の人にはちゃんと言ったし、火傷の痕も見せたよ、とこれまた当たり前の様に説明する私。


「知らないに決まってるじゃないの!…ていうか待って、ライターを直に当てられた?」


私の回答を聞いた彼女は、


「何あいつ私の可愛い愛娘にライターを直に当てるとか本当に信じられないわ釈放されたら私もあいつにライター当ててやろうかな」


と、かなり恐ろしい事を口の中で言いながら私の言葉をオウム返しにした。


「うん。あの時冬だったから、暖房の前で温まってたら、『そんなにあったまりたいなら、俺があっためてやるよ』って言われて…。て言うか今、この話関係ないよ」


(お母さん、この話はまた今度ね)


このままだと埒が明かないと咄嗟に判断した私は、半強制的に会話を中断させた。


最も、まだまだ私に問い詰める事が沢山あったらしいお母さんは、


「ライターとか聞いてないし…お風呂場に沈められたっていうのも、そういえばあんまり詳しく聞いてないな…」


等と、隣に居る仮再婚相手のキムさんの存在を完璧に忘れて、モゴモゴと呟いていた。