吐き気が込み上げ、思わずお父さんの顔面に胃の中のものを全て吐いてやりたいのを必死に抑え、私は涙を零しながら頷いた。


(何で、何で?)


(脱ぎたくないのに、)


(お父さんは、私に何をするの?)


怖い。


怖い。


怖いよ。


(誰か、助けてっ……!)


心の中で、今までよりも本気で、強く。


近所の人でも、この辺りを通り掛かった人でも、今は会社に居るであろうお母さんでも構わない。



とにかく私は、誰かに、心の中で必死に助けを求めた。




そして、私が下着に手を掛けた、その瞬間。




「たっだいまぁー!今日は仕事が全部スムーズにいったから、早めに切り上げられたのー!」


突如玄関が開き、上機嫌のお母さんが姿を現した。


「………」


私は、下着に手をかけたまま驚きの余り動きを止めた。


「………」


お父さんも、お母さんがこんなに早くに帰ってくると思わなかったのか、私の太ももを撫でていた手を止めた。


「あれ、お父さん何し…………瀬奈?」


彼女が私達2人の異変に気付くのに、そう時間はかからなかった。


「瀬奈?え、何やってるの、何で服脱いでるの?何でパンツ…待ってお父さん?お父さんは何してるの?」