初めて包丁を向けられてガラスの雨が降ったあの日も、初めて平手打ちをされたあの瞬間も痣だらけになって泣き喚いたあの日々も、もう肌を露出出来ないと悟ったあの時も。


動物以下の扱いをされて、食事も与えられずお風呂にも入れなかったあの日々も、身体中から血を流しながらただただ勉強だけをしていたあの時も、クローゼットに入れられて脱水症状になって吐いてしまったあの日も。


血だらけになって、ベランダから落ちてまでして逃げる事を試みたあの行動も、泣きながら父親の前で裸になって沢山嫌な事をされた事も。


口角を上げる気力も笑い声をあげる気力も無くて、その頃の私の表情はただただ歪んでいて、目から雫が落ちるばかりで。



1晩では語り切れない程の私が受けた虐待の過去を、私は必死になって彼に伝えた。


私がされた虐待の種類は思い出せる限り言葉にして、その証拠の様に私の肩や首に付けられた傷の痕も見せた。


そのせいで、肩を触られると過去を思い出してしまってパニックになってしまったり、今寝れていない事等、トユンさんに分かっておいて欲しい事は全て伝えた。


もちろん、話している最中に急に怖くなって泣き出してしまったり震えが止まらなくなったりしたけれど、トユンさんは決して『話さなくていいよ』とは言わなかった。