約束~悲しみの先にある景色~

「え、察して……。俺protectにばれたんだけど、普通に走る最中転ぶかと思って…、ねえ瀬奈ちゃん」


急に話を振られた私は、コートやら何やらを脱ぎながらこくこくと頷いた。


「それは大変だったね、2人共お疲れ様」


奥から掃除機を片手に出てきたお母さんが、苦笑いを浮かべる。


「…お疲れ様。そんな2人に良い知らせがあるんだ。本当は引っ越しの準備は皆でやりたかったんだけどね、家具を置いたりするのは2人が来る前に終わっちゃったんだ」


誰かさんと違って作業が早いからね、と胸を反らしたキムさんを見て、伊達眼鏡と黒いマスクを取ったトユンさんは嫌そうな顔を見せた。


「だから、少し休憩したら全員でお皿出したり洋服整理しましょ。瀬奈には部屋の場所を教えないといけないし」


そんなキムさん達を見て笑顔を浮かべたお母さんは、私達に手招きをした。



そして、案内されるがままにソファーに座って皆で紅茶を飲んだ後。


「はい、此処がトイレで隣がお風呂ね。2階にもトイレあるから使っていいよー」


洋服等の整理を完全に親に任せたトユンさんは、私に部屋の場所を教えてくれていた。


「え、広い…」


前まで住んでいた我が家の軽く2倍は超える大きさのお風呂に、私はしばらく固まってしまう。


こんな大きさの湯船に浸かるなんて、信じられない。