『あぁ、後ろにいくやつ?』


「そうそう。それの練習中に、俺見ちゃったんだよね…。ガクちゃんの、北斗七星」


カイちゃんの質問に答えながら付け加えるトユンさんは、空いた片手でがしがしと頭を掻いた。


その振動が身体に伝わる。


それよりも、気になるのは。


『え、北斗七星見たの?そもそも見えるの?』


「うん。普通にTシャツめくれてた」


(北斗七星って何?)


2人の会話から聞こえる、その単語。


『あの曲の衣装、カジュアルな感じだよね…。って事はさ、本番ももしかしたら見えるんじゃない?』


それが何を意味しているのか、promiseの事を詳しく知らない私には分からないけれど、2人の間では話が通じている様で。


「そう、そうなの!ガクちゃん絶対嫌がるだろうから、本人には言わなかったんだけど…。あそこの振り変えるか、他の誰かにバク転やってもらった方が良くない?」


『…うん、そっちの方が良いかも。じゃあ俺、明日にでも振付師さんと相談してみる』


『…あ、でもさ。あそこの位置からバク転1番しやすいのって、やっぱりガクちゃんしか居ない気がするよ?』


「え、でも何とか斜めに入れないかな?マンネとガクちゃんの間を通れたら、俺がバク転出来るんだけど…」


『いや、それやったら無理矢理感出過ぎだから』