そしてすぐに、


｢ご飯出来てるから早くおいでー｣


という彼女の声が聞こえるけれど。


(…あー引っ越し……眠い、)


既に眠気と戦っている私の脳は、きちんと動いていなくて。


｢…今行くー｣


ドアだと勘違いしてクローゼットの扉を開けるという致命的なミスを犯しながら、私はのろのろとリビングへ向かって行った。


朝ご飯のパンを時間をかけてちぎって口に入れる作業を終わらせ、重い瞼を必死で持ち上げながら胸までの髪の毛をポニーテールに結んで。


｢行ってきまーす｣


起きてから家を出るまでのこの時間が、こんなに長く感じたのは初めてだった。



行きの電車の中でようやく爆睡する事が出来て、それでもあくびが止まらないまま私は学校に到着して。


滅多に学校で寝ないはずの私が授業中に眠ってしまっているから、休み時間に輝星が


｢どうしたの瀬奈、寝不足？昨日何時に寝たの？もしかしてpromiseの曲を夜通し聴いてたとか？え、違う？｣


と、わざわざ智和との会話を中断してまで、謎にpromiseと関連付けながら心配してくれて。


｢多分寝不足だと思う…。あ、promiseの曲聴いてないや、ごめん｣


何度もあくびをしたせいで涙目になりながら私がそう言うと。