それと同時に、自分がどうしてあんな声を上げたのか、見ていた夢は何だったのかをはっきりと思い出してしまって。


「ぁ、怖い、っ……!」


このまま夢の事なんて忘れて寝たかった、と猛烈に後悔しながら、私は抱き締め過ぎて潰れている枕を涙で濡らした。


声を殺して泣きながら、私は、空いた右手でそっと右首の古傷に触れた。


約7センチほどの線が、背中側から鎖骨にかけて伸びているのが分かる。


傷も薄くなったし、普段はほとんど服で隠れるから分からないけれど、やはり触ると少し手触りが違う。



この経験も、私がお父さんの事が大嫌いになった理由の1つ。


これのせいで、私はお父さんやその他の男性に対する考えを180°変えてしまった。



それにしても。


「何でまた、こんな夢を見たの……?」


もう眠る気にもなれないし、眠った気にもなれない。



結局、この後も私は昨日と同じ様にほとんど一睡も出来ないまま、朝を迎えた。