『お父さんの、大事な時間をっ……私なんかに使わせて、ごめんなさ……っ、』


『言う事…、っ、聞けなくて、ごめんなさい……』


全てを否定して。


『何も、出来なくて…ごめんなさいい…っ』


(私が此処に居て、ごめんなさい)


『私が、…全部、全部…ごめんなさいいいいぃっ…!』


流れ続ける涙が、布団を濡らしていった。



『…ふっ、やれば出来るじゃねぇかよクズ』


(あ、……)


私が謝り続けてどれ程の時間が経ったのだろう。


お父さんの優しい声で、


『ごめんなさいごめんなさいごめんなさい』


と、うわ言の様に呟いていた私は我に返った。


(お父さん……、)


今日はもう許してくれるのかなと期待して、彼の方を見れば。


『可愛い可愛い瀬奈ちゃんが謝っても、反省してる感じがしないんだよなぁ?』


真っ黒な、闇の様なその瞳が私を捉えていて。


その手には、いつの間にかバットの代わりにいつもの包丁が握られていた。



『あ、あ、あぁああっ……!?』


お父さんの視界が良好になる様に、と電気のついた部屋の中。


『……お前なんて居ても居なくても何も変わんねぇんだよクズ死ね』


お父さんの持つ包丁の刃が、初めて私の首元に当たり。


『やぁあぁああっっ!ああああぁぁあやめてえぇぇえっ!』