(アイドルがお兄ちゃんだなんて…。やっぱり信じられないし、凄いな。今度ちゃんとpromiseの曲聴かなきゃ)


私は笑みを零した。


けれどすぐに、お父さんと重ねてしまうから怖い、なんていつかは言っていられなくなる事を思い出し。


(…今日みたいな事を起こさない様にしないと)


私はふっと息を吐いて、スマートフォンを充電器にさして目を閉じた。


瞬く間に、眠気が襲ってくる。


瞼の裏に映し出されるのは、最後にこちらに手を振って出て行った2人の姿。


(全然、キムさん達と話せなかったけど、)


(……トユンさん、優しかった…)


最後にそんな事を考えた直後、私の意識は途切れた。




『馬鹿野郎っ！』


暗闇の中。


急に誰かからそう怒鳴りつけられ、私の意識は瞬時に覚醒した。


(何！？)


そう思ったのと同時に身体を襲う激しい痛み。


『あぁぁぁああぁごめんなさいいいいぃっ！』


何が起こっているのかも理解出来ず、先程までの眠気は何処へやら、私は金切り声を上げて身体を仰け反らせた。


ほとんど反射的に口から溢れ出たのは、謝罪の言葉。


『誰がお前を育てたと思ってるんだ！』


深夜に堪忍袋の緒が切れてしまったのか、私の上に馬乗りになって体重をかけながら顔以外のあちこちをバットで殴っているお父さん。