約束~悲しみの先にある景色~

未知の言語はやはり難しい、と私が苦笑いを浮かべると、


「アッパ、今そんな事どうでもいいから!…で、瀬奈ちゃん、俺の事は…」


きらきらした例のあの瞳で、息子さんが私を見てきて。


まるで子犬の様なその瞳をしっかりと見つめ、私は昔の記憶を振り払う様に軽く頭を振って問い掛けた。


「あ、……トユンさん、って呼んでも良いですか?」


その直後、私は言葉を付け足す。


「えっと、2人の事をキムさんとトユンさん…って呼びたいんですけど、」


その瞬間、キムさんの息子さん、いやトユンさんの顔がみるみる笑顔になっていって。


「うん、分かった!…じゃあ俺は、2人をアッパとオンマ、君の事は瀬奈ちゃんって呼ぶね!…あ、俺一応アイドルやってるけど、だからって何か謙遜?とか、こう…他人行儀的なのはしなくていいからね!?」


私は、その明るい言葉にこくんと頷いた。



そして、


「じゃあ、これから……」


と言うお母さんの声に、私達は全員で口を揃えながら頭を下げた。


「「「「宜しくお願いします」」」」