約束~悲しみの先にある景色~

私を除く3人はもうそれなりに打ち解けたのか、キムさんの息子さんを囲む様にして笑い合っている。


(何か、楽しそう……)


私が居ないとお母さんはこんなに楽しそうに笑うなんて。


私と居た時も確かに笑うけれど、キムさん達とは本当に気が合う様だ。


短時間で仲良くなった彼らが羨ましい。


(…私、居ない方がいいかな…?)


まただ。


また、あのどす黒い感情が私の心の中で芽を出そうとしている。


虐待を受けて以来少しの事でも疑心暗鬼に陥りやすくなっていた私の考えは、簡単にネガティブ思考に切り替わってしまう。


(私が居ない方が、皆楽しいかな…)


(私の自己紹介で時間を使うより、この会話を続けて時間が過ぎていった方が得、なのかも…)


『お前が居るから、お母さんも俺も自由になれないんだ』


『お前なんて居なければ、みんな幸せなんだよ』


いつかのお父さんの言葉が頭をよぎり、私は思わず身震いした。


(そんな事ないよ、ね……)


(私、今必要じゃないの?)


疑心暗鬼の私と、そうではない私が頭の中で議論を繰り広げる。


(私は、“今”だけじゃなくてこれからも要らないのかな?必要無いのかな?)


恐ろしい考えが、私の頭の中にこだまする。