約束~悲しみの先にある景色~

と言われてきたのに、それを当たり前の様に受け入れていたのに、それなのに何なんだこの人達は。


ぽかんと口を開けてその会話を聞いている私に、


「あー瀬奈、また着替えてきてくれる?」


と、良いタイミングでフォロー(普通に提案)して来たお母さんは素晴らしいと思う。


「あ、うん」


その言葉に踵を返し、私は自室へと向かった。



「っ、はぁー…」


昨日と同じ様に、自分の部屋のドアを閉めた私は大きく息を吐いた。


つい先程、駐車場の所で必死にお父さんの事を頭から追い出していたのに、何でキムさん達2人の事を見ただけでこうも簡単に前のお父さんの事を思い出して、2人に重ねてしまうのだろう。


前のお父さんと、キムさん達は完全に違う人達だし、性格も違うはずなのに。


(もう、何で…?)


私は、どれ程お父さんの事が好きで、嫌いで、憎かったのだろう。


彼から虐待を受けることで、洗脳されたくなかった。


「………」


また心にごちながら部屋着に着替えた私は、3回程深呼吸を繰り返してまたリビングに戻って行った。



「ヨーロッパならどこに行った事あるの?」


「イギリスとフランスは仕事で、あとドイツに観光で行きました」


リビングに戻ると、お母さんとキムさんの息子さんが先程の会話の続きをしていて。