「新年早々授業とか萎えるので、今日は伝えてあった通り数学はテストをします。机の上は筆記用具だけね。早く終わったからと言ってテスト用紙に落書き禁止ね、それ回収するので。あ、カンニングしたら分かってるね?……はい始め」


2時間目の数学でテストを行った時も、


「…公民の授業って何処までやったっけ?日本国憲法は終わったっけ?…え、2学期の試験範囲だった?あ、それはごめん。…じゃあ、教科書の140ページ開いて下さい」


3時間目の、先生も生徒も曖昧な記憶の中で公民の授業を聞いている時も、


「古文の問題解くのと先生の冬休み中の話を聞くのならどっちがいい?…そうだよね。…あれは、12月29日の事。つまり去年の事です。…先生は、無性にお腹が空いたのでコンビニに……」


4時間目の国語で、何故か先生の冬休みの過ごし方に耳を傾けていた時も、


「どうも君達、4時間か5時間ぶりだね。今から学活始めます、きりーっ……中田クン懲りないねさっさと座れ。えっ?今日は何するかって?そりゃもちろん、3学期の目標決めだよ。中田は、『チャイムの前の着席を心掛ける』とでも書いとけはい起立ー。礼ー」


5時間目の、郷先生の見事な突っ込みから始まった学活の時間も、


頭の中は、キムさんとその息子さんの事、それから眠気と闘う事だけでいっぱいだった。