約束~悲しみの先にある景色~

けれど、折角の機会だから彼等のことを知りたいし、別に質問攻めにした所で輝星は怒らない。


どちらかと言えば、彼女は目をキラキラさせて声を大にしてジャンプまでしてpromiseの曲をかけながら教えてくれる様な人だから。


という私の読み通り、彼女は目をキラキラさせて椅子から腰を浮かしかけながら、次々に私が知らない情報を私の脳内にインプットさせていく。


「でしょ!ユンちゃんね、何種類ものヘアバンド…全部下地は白色なんだけど…を持ってて、いつもアイドルとして活動する時はヘアバンドを付けてるんだ。頭に限らず、腕に巻いたり服に付けたりして」


頭だけでなく、腕に巻いたり服に付けたりするという事は、ヘアバンドが大好きなのだろうか。


「ユンちゃんって、ヘアバンド好きなの?」


そこで彼女は、プクーッと頬を膨らませてゆっくりと言葉を選び始めた。


「好きっていうか、思い入れがあるんだと思う。このヘアバンド、結(むすび)って呼ばれてるんだけどね、何でかって言うと…」


インフルエンザ防止の為にと開けられた窓から、冷たい風が入って来て私の頬を撫でる。


「promiseのデビュー日にユンちゃんがマネージャーさんから貰ったのが、真っ白のヘアバンドだったんだって」


「うん」


話し続ける彼女の嬉しそうな顔が、私の視界いっぱいに広がる。