約束~悲しみの先にある景色~

懲りずに大声を出した輝星を一瞥し、これから学活が始まるのに数人の生徒が教室を出て行った。


「あっ、つい興奮して……。えっとね、ユンちゃんは元々韓国に住んでて、韓国と日本を往復してたんだけど、何か近頃は日本に住み始めたみたい」


さすがにやばいと感じたらしく、瞬間的に口を押さえて机に突っ伏した彼女は、次の瞬間何とか平常を取り戻して説明を続けた。


「へー、韓国に住んでたんだ。…この人、日本語は出来るの?」


そんな彼女に苦笑いを浮かべながら、私は疑問を投げ掛ける。


「うん、もちろん!読み書きは自分でイマイチって言ってたけど、話したり聞いたりする分には全然支障は無いよ」


(あっ、確かキムさんの息子さんも韓国語と日本語のどちらも話せるって言ってたな…)


と、この期に及んでまだキムさん達の事を考えて憂鬱な気分になりかける私の前では、


韓国語を話せたらどれ程楽しい事か……、K-POP和訳なくても聴けるんだよね良いなぁ…、と、輝星が大きくため息をついていた。


「そうなんだ!凄いね…。ところできっき、このユンちゃん?がつけてるヘアバンド、似合ってるね」


次々と話題を変えてしまい、心の底から申し訳ないと思う。