約束~悲しみの先にある景色~

「あー、帰国子女は最初は馴染みずらいって言うもんね」


(しかもアメリカと韓国に住んでたなんて…。この人の頭の中、どうなってるんだろう?)


ある時は日本語で話して、またある時は英語で話すなんて、私には一生出来ない凄技だ。


「ねー。で、アッキーは日本語と英語と韓国語が堪能だから、よく3ヶ国語全部ごちゃ混ぜにして話してるんだ。アッキーは良くバラエティ番組とか出てるから、瀬奈も知ってるんじゃない?」


「ん?バラエティ番組?」


輝星のその言葉を聞いて私の脳裏に浮かんだものは、たまに観るバラエティ番組にゲスト出演していた、あるアイドルの男性の姿。


『今回のゲストは、3ヶ国語を1度に操るアイドル界のトリリンガル、橋本 陽君です!』


司会のそんな声で現れた人は、確か。


『Hello!(こんにちは)!promiseのoの担当をしてます、橋本 陽です!잘 부탁드립니다!(よろしくお願いします!)』


3ヶ国語で挨拶をして、他の芸能人との会話も3ヶ国語を交えながら話していた。


あの人は、promiseのアッキーだった。


「私、その人知ってる!」


ぽんと手を打って私がそう言うと、輝星はぱぁっと顔をほころばせた。