ずっと、我慢をしてきた。



全てを我慢すれば、いつか世界は変わると信じていた。



私の事を笑って受け入れてくれる様な、そんな優しい世界。



けれどそれには、『家族』という存在が必要で。



私は、知らなかった。



『家族』と居ても、そこに自分の居場所が無い生活があるという事を。




私は、いつも孤独だった。



だからなのだろうか。



ずっと、兄が欲しいと思っていた。




物心ついた時から家にも学校にも居場所が無かった私にとって、唯一の心の救いは“もし自分に兄が居たら”と考える事だった。



空想の世界に入る事でしか、自分を保てなかった。



いつも傷だらけで泣いていた私にとって、空想の世界で私を助けてくれるヒーローの様な存在しない兄が、私を元気づけてくれた。




もしも私に兄が居たら、苦しい事も悲しい事も、嬉しい事も全部報告出来るのに。





ねえ、お兄ちゃん。




ずっと“お父さん”という存在にがんじ絡めになっていた私を解いてくれて、いつも泣いていた私を笑顔にさせてくれたのは。



他でもない、あなたなんだよ──。