「いや、成瀬が授業を真面目に受けていることはよく分かってる。その証拠に平常点は満点だしな。ただ…」

テストの点数の12という数字を、閨川は申し訳なさそうに指差した。
平常点は満点の20点。
しかし、テストの点数は12点。
トータルで32点なので、ひなりはテストであと3点取らなければいけなかったのだ。

「ご、ごめんなさい…私…元々理科は苦手で…」

ひなりは理科の中でも化学は特に苦手だった。

「いや、俺の教え方の問題だと思う。真面目に授業を受けてる成瀬がクラスで最下位…」

言いかけて閨川は口を噤んだ。が、ひなりの耳にはしっかりと聞こえてしまっていた。

「さ…最下位…?!」

ひなりはショックのあまり硬直した。