7月の夏休み前のとある放課後、ひなりは閨川に呼び出され、理科室に来ていた。



あの件以降、いじめの主犯格だった荒野は何もしてこなくなり、それだけでなく、岸本や他の取り巻きたちもいじめをしなくなった。

荒野は、自分がひなりに暴力を振るったことは音咲のせいだと意味のわからないことを訴えていたが、当然信じる者など誰一人としていない。それどころか、男子たちに大人気の音咲を悪く言う荒野は、男子生徒ほぼ全員の反感を買った。

ひなりは、あの件以降クラスで浮いている荒野を少し可哀想に思ったが、荒野が自分にした事を考えるとやはり許せないという気持ちの方が大きかった。