6月上旬のある日、3年Ⅲ組は教室で閨川の授業を受けていた。
外は大雨が降っていて、雷も鳴っている。
この歳になってもまだ雷を怖いと思うことに対してひなりは自分を情けなく思いながら、授業に集中しようとしていた。

ガタンッ

突如、雷とは違う大きな音が教室に響いた。
前の方に座っている1人の女子生徒が椅子から崩れ落ちたようだ。
すぐにその生徒に駆け寄る閨川。

「水神?おい、大丈夫か?!」

閨川は、女子生徒の肩に手を置き顔を覗き込んだ。

「だ、大丈夫……です…貧血…なんで…」

苦しそうに答える女子生徒、水神雁(ミズガミ カリ)。