「桜ヶ丘?音咲先生もあそこ出身なんですか?」

直属の後輩で、学校でもかなり目立っていたのに存在すら知られていなかった歌那美は少し拗ねた顔をした。

「先輩ひどいですよぉ。私、結構合唱でソロ歌ったりしてたんですよ?」

すみません。と苦笑いをして仕事に戻ろうとする閨川の手を、歌那美はすっと掴んだ。

「玲眞先輩♡あなたはずっと私の憧れだったんですよ?だから…生徒との恋愛などで先輩に過ちを犯して欲しくない。」

真剣な眼差しで閨川を見つめる歌那美。

「生徒との恋愛?音咲先生は面白いですね。高校生は俺みたいなアラサー相手にしませんよ。」

仕事途中なんで。と、閨川は再びペンを持った。