「ん?なんで成瀬が持ってきてくれたんだ?」

ある日の放課後、ひなりはクラスメート全員分の化学のノートを閨川の居る理科室に持って来ていた。
ひなりに頼んだわけではない閨川は不思議そうな顔でひなりを見つめている。

「当番の人が忘れてたんで…」

「そっか。ありがとう。…成瀬、またいじめてくる奴がいたらすぐに言うんだぞ?あれから何もされてないか?」

自分のことを心配してくれる閨川。
ひなりは頬を赤らめながら頷いた。

「なら良かった。ノート、悪かったな。重かっただろ?…ったく、東海林のヤツ忘れやがって。」

閨川は再び、ひなりが来るまでやっていた実験に取り掛かった。