「ありがとうございました。私帰るんで」

その場を立ち去ろうとした栄華の手首を、暖かい手が掴んだ。

「荒野さん。何か悩んでる事あるんでしょ?先生、話聞くよ?」

栄華の目を真っ直ぐに見つめて、音咲は言った。

「…いいです。」

「良くない。」

音咲は帰してくれそうにない。
栄華は仕方なく、溜息まじりにわかりました。と言い、音咲について行った。