閨川に抱きついたまま、ひなりは離れなかった。もう離れることなど出来なかった。

「成瀬、実験中だ。この液体は危ないから…」

「嘘ですね。」

離れるよう促そうとする閨川の言葉をひなりは遮った。

「それはただの食塩水でしょう?先生、補習で教えてくれたじゃないですか…。私のことバカだと思って騙そうったってそうはいきませんよ?」

ひなりは閨川の顔をじっと見つめた。
すると、閨川は実験の手を止めるとひなりに向き合った。