明日の化学…頑張ります……」

苦し紛れに出た言葉は、ありきたりな台詞だった。

「ああ。ありがとう。俺も頑張るな!」

閨川は笑顔でそう返した。
その笑顔は彼が中学生の頃、幼稚園児だった自分に向けてくれた笑顔と同じだった。
ひなりは再び思い出して嬉しくなった。
それと同時に少し切ない気持ちになった。

私にもう少し勇気があれば…

「私のこと覚えてますか?」
その一言が言えたら…

そんな事を思いながら、ひなりは再び掃除を始めた。