そして玲眞は、校門の前で傘もささずに俯いて立ち尽している少女に駆け寄り、声をかけた。


「…成瀬…?」


すると少女は…成瀬ひなりはおもむろに顔を上げ、虚ろな瞳で玲眞を見上げた。

「れいま…先生…」

「こんなところでどうしたんだ?……っ?!」

問いかけた玲眞に突然抱きついてきた成瀬。彼女の華奢な体はすっかり冷え切っていた。

「…ないで…。」

彼女が発した震えた声がかすかに聞こえた。

「?…成瀬、今何て…」


「行かないでっ…!」


成瀬は潤んだ目で玲眞をまっすぐ見つめてそう言った。
そしてまた、玲眞を強く抱きしめた。

玲眞は驚きながらも、冷え切った彼女の体がこれ以上濡れないよう、華奢な体を自らの体で覆った。