「何言いだすの? アディール。お爺ちゃんが病気なのよ」

「ああ、そうだよ。でもさ、病気でも好きな人と一緒の方が、幸せじゃねぇ? 母ちゃん、爺ちゃんの魂に聞いてみたのかよ。どうしたいのか」

「そ、それはまだだけど・・・」

「俺は聞いてみてぜ。この前、お見舞いに行った時にさっ。ちゃんと答えてくれたぜ、好きな人と一緒にいたいって」


 ティミスはフッと笑った。

「わかったよ、アディール。・・・マロンディス達が地底に行く事、許可するよ」

「おっ、父ちゃんさすが! もの解りいいよなぁ」

 満面の笑みで、アディールはジックニーに歩み寄った。

「良かったな。これで、家族とずっと一緒にいられるなっ」

「有難うございます、皇子様」

「おい、俺を皇子様って呼ぶのはよせって。うーんそうだなぁ・・・やっぱり「兄貴」って呼んでくれよ。その方が、俺も嬉しいしさぁ」

 ジックニーはきょんとして、目をパチクリさせている。

「ん? 嫌なのか? 」

「あ、いいえ。その・・・兄貴って、よく判らないから・・・」

「ああ、そっか。うーん。・・・まぁ、お前の兄ちゃんって思ってほしいってことだ」

「お兄ちゃん・・・。なんか、いいなぁ。・・・」

 アディールはギュッと、ジックニーを抱きしめた。

「マジでお前可愛いなぁ。地底に帰ったら、寂しくなるぜ」

「いつでも遊びに来て下さい。飛龍で迎えに行きますから」

「ほんとか? 」

「はい」

 ジックニーはシルビアを見た。

「いいでしょう? お母さん」

 シルビアは一瞬、戸惑った目をしたが、すぐさま笑みを浮かべた。

「ええ、いいわよ。大切な、貴方のお兄ちゃんだものね」

「うん」

 いつにない満面の笑みを浮かべるジックニー。