「うそ、だろ?」


亮平が呆然と呟く。


また【骨折】?


「大丈夫だよ。指令をクリアすればいいんだからさ」


悪魔がにっこりと笑って箱を差し出す。


指令書が入った箱を。


亮平が小さく頷いて、箱の中に手を入れた。


取り出した紙に書かれていたのは__?


【参加者全員、次のゲームまで飲み食いをしないこと】


「また?」


声を上げたのは、未知瑠だ。


それは同じ指令だった。


亮平が骨折を免れるためには、また1日なにも食べてはいけない。


しかも、これで2日連続だ。


「大丈夫だ。2日くらい何も食わなくても死にはしない」


彰が、私たちに言い聞かせるように言った。


「そ、そうだよ。食べなかったら骨折しなかったし、ちゃんと守れば大丈夫」


「本格的なダイエットか」


よしっ、と気合を入れた未知瑠に、みんなが笑った。


続けて彰がサイコロを投げる。


板垣と友美も投げたが、マス目に変わりはない。


できれば、なにか良い目を出したい。


そう願って、私もサイコロを放ったが__。


「じゃ、また明日ね!」


悪魔が手を振って、屋上から出て行く私たちを見送る。


せっかく未知瑠が明るい目を出したのに、誰も口を開くことはなかった。