「指名した相手を【15マス】戻す」


「15マス、戻す?」


「うん、確かに見たの。双眼鏡で見た時に、書いてあった」


未知瑠は、うんうんと頷きながら言う。


アイテムの双眼鏡で、マス目の下に隠された文字が透けて見えたんだ。


「それ、何マス戻ればいい?」


彰が尋ねると「4マス」と未知瑠が答えた。


4マス戻れば、誰か1人を15マス戻すことができるというわけだ。


「リターンとダーツを使う」


彰が宣言すると、かなり遠くに丸い的が現れた。


いくらダーツに自信があるからといって、あの距離じゃ狙った数字を出すことなんて__。


合図もなにもなく、ダーツを構えると彰が軽く投げる。


真っ直ぐに的に向かう。


ダーツは④に刺さった。


「彰、凄いじゃん!」


涼しい顔でマス目を4つ戻ると、未知瑠の言う通りの文字が現れた。


【指名相手を15マス戻す】


「誰を戻すんだい?」


天使の言葉に、彰が考え込む。


あと残っているのは、板垣と友美だ。


2人はもう前に進むしかない。


どちらかを15マス戻さないと、きっとどちらかがゴールをしてしまう。


ゲームが、終わってしまうんだ。


けれど彰が【指名】したのは__。


「光莉だ」